2015年4月5日日曜日

「イースト・ヘイスティングス」

A1

カナダの音楽と言えば、「Godspeed You! Black Emperor」(ゴッドスピード・ユー・ブラック・エンペラー)というポスト・ロックのバンドのことを思い出す人がいないでしょう。これを初めて聞いたのはちょうど一年前でした。友人は彼らの「F♯ A♯ ∞」(エフ・シャープ・エイ・シャープ・インフィニティー)というアルバムを聞かせてくれて、すっかり気に入った私はすぐに購入しました。この音楽は現代のロック・ポップにまったく似ていません。むしろクラシックと同じく、曲は長くて、楽章に分けて、いまの時代で非常に独特だと思います。ところで、バンドのタイトルは、じつは日本のドキュメンタリー映画から来ました。

ポスト・ロックの音楽は一般的に言えば、実験的なものです。「どこまで音楽の限界を広げられるか試してみよう」というのは、このバンドの発想かもしれません。それに、クラシックの楽器であるヴァイオリン、チェロー、ホルンなどが入っていて、ロックの楽器も入っていて、無限な組み合わせた音が奏でられます。それに、日常生活から録音した車、歩行者、雑音などの音も入っていて、ほかにない音楽と思います。ボーカルはほとんど使われず、音楽のテーマは少し説明しにくいのですが、このアルバムのテーマは分かりやすいと思います。世界の終わりという暗くて、恐ろしいテーマです。

ViewAttachment (3)特にアルバムの二番目の曲、「East Hastings」はテーマを表します。18分でいろんな感情が出ます。曲は3楽章からなり、まるでそれぞれ独立した曲のように感じられます。最初から曲は遅いリズムで、孤独なイメージが出ます。誰もいない世界で独りで歩きまわるような気がします。曲はだんだん速くなり、まるで誰もいない世界で何か恐ろしいものから逃げようとする感じで、聞く人に恐怖を与えます。最後に、不幸な事故が起ったらしくて、不気味な雑音が響き、聞く人を動揺させます。ちなみに「East Hastings」とは危険な薬物を使う人たちが集まるバンクーバーにある地区の名前で、それが世界の終わりを訴える曲の名前となりました。

このような音楽が生まれた理由は、テーマが複雑すぎて、言葉では表しきれないことにあるのではないかと思います。言葉が用いられていないからこそ、印象的な音楽となりました。でも、印象的な音楽なのに、流行っていません。理由はそのリズムが少し聞きにくいことにあるかと思います。音楽はあまりにもうるさいという意味ではなく、本当に現代の流行っている音楽と違いますから、普通の人々にはちょっと馴染めないものだと思います。でも、じっさいに聞くと、好きになれるかもしれません。このリンクをクリックすると、YouTubeで「East Hastings」を聞けます。18分と、長い曲なので、時間があればぜひ聞いてみてください。ちなみに、私の一番好きな部分は、2'17"から12'18"までです。

来週は最後のエントリーなので、特別にします。楽しみにしてください。

2 件のコメント:

  1. 今「イースト・ヘイスティングス」という曲は聞いています。二番のトラックは最初は暗くて、最後までなんか世界が終わるのことがとても感じがしました。 三番のトラックは気味悪いです。色々な音が出て、まるでその暗い場所が私がいます。

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  2. ずっと毎週いろいろな音楽を教えてくれますね。「East Hastings」の音楽を聞いたことがありません。実は、あまり日本の音楽を聞きません。宇多田ひかるの「Heart station」は私の一番好きな音楽で、そのアーティストはいつもいい音楽が持つらしいです。

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