2019年2月28日木曜日

懐風藻

蘓誕

本週は詩歌だけではなく、日本と日本語の歴史も語りたいと思います。

ということで、今日のテーマは、「懐風藻」。

「懐風藻ってなんなんだ」と思って当然です。百人一首と違ってあまり知られなくて、大昔の書き物だし、日本語でもなかったし、テーマも少しおかしいかもしれませんが、日本人によって書かれた日本の詩集に違いはありません。

懐風藻は日本人が書いた詩を集めたものです。日本語ではなかったので、「和歌」などと言えません。昔の中国語で書かれた漢詩です。当時日本語よりも中国語の方が公式な場面や書類で使われる言葉でした。

かなり難しいというのをものともせずに挑戦しましょう。

待宴
皇明光日月
帝徳載天地
三才並泰昌
萬國表臣義

述懐
道徳承天訓
塩梅寄真宰
羞無監撫術
安能臨四海

現代語訳(このサイトより引用

天皇の御威光(ごいこう)は日や月のごとく照りわたり
天皇の徳は天や地が万物(ばんぶつ)を包み込むように広大で
三才(さんさい)はみな安定して盛んでおり
天皇にたいしてすべての国が儀礼を表す

自分の天皇の御心に従って道徳を体し万機(まんき)を総攬(そうらん)しようと思って
国政をつかさどるには覧相(らんしょう)を選んでその翼賛(よくさん)を待つ次第であります
しかし恥ずかしいことでありますが、自分は菲才(ひさい)未熟で臣隷(しんれい)を制御し民衆を愛撫するだけの術策を持っていないので
いかにして四海(しかい)を統治すべきかを苦労し臨むところでございます

もっとわかりやすく解説してみたいです。

天皇は太陽と月のように我が世を見下ろす
あらゆる存在しているものを守って
世界が繁盛している
天皇にすべての国が儀礼を表す

天皇も道徳や国の事項を大切にする
私たちは司る天皇を応援しないといけない
しかし恥ずかしいことに私はまだ若くて奴隷を制することしかできない
どういう風に世界を統べたらいいか知らなくて頑張っています

美しさといえば、アートとしてそんなに美しくはないのですが、日本の歴史をさかのぼると平安時代は最も芸術などに富んだ時代だとされるんじゃないですか。日本の過去を顧みて、当時の著者はどれだけ綺麗にかけたか、中国語を完璧に操ってものすごく美しい言葉を使ったかが驚異的でしょう。今と比べたら、過去の方が断然平和的で、中国と日本の間の関係から様々な大事なことが生まれました(宗教の輸入、仮名、建築、料理など)。そのポエム自体は綺麗ではないとはいえ、美しい時代を思い出させます。

1 件のコメント:

  1. 蘓誕さんのブログは興味深いですね。懐風藻は実験詩歌だと思いますか。確かに平安時代には様々な芸術をつくりましたが、日本人は新しいアイデアを探検して、日本語が足りないから、昔の中国語で実験して書くのでしょうか。

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