ジョン
運命のいたずらは予測できない。たとえば自然災害。一瞬にして、人生の魅力が消えてしまうかもしれない。ある人は、もう一度自分のために生きる意味を探し出そうとする。しかし、消えてしまったのは本当に大事なものだとしたら、一生見つけられないだろう。1997年の「HANA-BI」はこの問題を取り上げる映画だ。
北野武(きたのたけし)監督の七作目にあたるこの作品もまた警察ややくざがテーマだ。今度のストーリでは、元探偵の西の奥さんが大変な病気になった。実際、彼女の命はもう時間の問題だ。逆に、西の親友はきたない仕事に汚されたから、奥さんや娘さんがかれを恨み、見捨てようとした。彼らはそれぞれ違う性格や状態に置かれていながらも、互いによく似た選択に迫られている。それは、それぞれ自分らしく違う道を選ぶことだった。
自分で主演するところはさすがに北野だ。おそらくこれはかれの強い性格の反映かもしれない。なぜなら、作品のどこを見ても彼の影が写っている。撮影といえば、動きの少ないカメラワークだ。一つの場面をじっと見つめながら、すこしずつ築いていく。この映画の言語で、北野監督は自分の思いを伝えた。言葉で伝えられないものがたくさんあるから、これはすごく感動的なスタイルだ。
普通にいうアクション映画ではないにしても、警察とやくざは戦うしかない。でも、北野監督は正しくアクションを暴力に変形させた。彼のアクション場面は超現実的で、始めたと思ったらすでに終わった。それ以外、乱暴を恐れなかった。北野のアクションは、作品の「こわれやすい」というテーマをしっかりと支えた。
「HANA-BI」は思慮深いやくざ映画である。それにしても、作品のキャラクターは普遍的な問題を抱える。そのために、人間の生き方や死について考えさせてくれた。素直な映画を見ようと思ったら、ぜひ見てください。そして、津波被害者のことを忘れないことを願いたい。少しだけでも、皆さんの努力が集まれば大きな力になる。