蘓誕
今週は現代の詩ではなく、現代人の書いた「詩っぽい」作品を紹介したいと思います。「詩っぽい」というには、私の考えでは以下の条件に当てはまる作品です。
・古文または古文っぽい日本語が用いられること、
・外来語(アジア以外、中国由来など可)は用いられないこと、
・日本人にとって大事なことを伝えたり、感動させたりすること(恋愛や自然など)
残念ながら、人々の古文への興味がますます減っています。ですが、その一方で、うれしいことにいまだ昔の日本語で歌ったりする歌手もいます。今週お伝えしたいのは「現代人も詩っぽく歌詞を作ったりする」という美しさです。詩は昔のものに限られると思いがちですが、古文や詩を勉強すればするほど現代の日本語も昔の日本語も両方理解できるようになって、ちゃんと楽しめるようになります。
今日選んだ二つの作品は、松任谷由実の「春よ、来い」という曲とDJ KEN KANEKOの「JAPAN」という曲です。全文解説したら字数の限界を超えるので特に気に入ったところを取り出します。
「春よ来い」から始めましょう。
淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から
ひとつ ひとつ香り始める
やはり恋愛が主題となる歌で、このテーマは数千年もの時を経てもまだ大切にされ、頻繁に詩に取り上げられます。
解説:
心の中では、淡い光(言い換えたら愛)が立つ(愛に心が満ちていること)
そして突然大雨が降る(涙)
春が近づけば近づくほど多くの沈丁花が香り始めるように私は想って涙する
春は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあります。春が来る=その人との別れが近づいてきます。これが泣く理由です。
次、DJ KEN KANEKOの「JAPAN」
コーラス:
この時代 この場所 この国に生まれ
移り行く景色は いとあはれなり
仰ぐ空に憂いごと 山のごとし
されど胸張れ さすれば明日もきっと晴れ
我々生まれた日本は益々変わりつつあって
常に変わっているのがとても哀れだ
空を見上げていて
心配事が山ほど多くある
だが、胸を張って
そうしたら明日必ず様子が好転する
一つ目の主題は恋愛、別れ、二つ目は日本の将来への不安。どちらも昔からのテーマです。
外来語がなく、古文が織り込まれていますので、私にとっては「詩っぽい」歌です。美しいです。
https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61FQG6H4eAL._SY606_.jpg
返信削除蘓誕さんはあの歌は詩っぽいと言った理由がわかりますが、歌は、どんなでも、詩だと言えるでしょう?
返信削除昨日、僕の夢で、DJ KEN KANEKOが服を着ないままに出た。彼がトランプ大統領、仏教、Johnie Walker'sについてラップした。あまりにも感じは変になったので、夢で目を閉じようとしたけど、無理だったよね。「生々ラッパー」。
返信削除