2019年1月24日木曜日

百人一首

蘓誕

「美しい和歌」といえば、百人一首が必ず頭に浮かぶかと思います。まだ百人一首のことを知らないのであれば、喜んで紹介させていただきます。最古の和歌集ではありませんが、日本歴史上かなり重要なコレクションだと言えます。平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての歌人、藤原定家によって集められた選りすぐりの100人の和歌集で、当時の素晴らしい詩人の優れた作品が含まれています。自然と恋愛は昔からよく取り上げられ、百人一首でも主なテーマとなっています。

美しい短歌は百首もあるため、どのような好みにも対応でき、お気に入りの詩がきっと見つかります。年齢や性別など問わずに楽しめると思います。ただ古文が読めないといけません。ここに私の気に入った短歌を選び、その作者や背景、短歌に出てくる難しい言葉、そして意味を解説してみます。

この二首を選びました:
1.「奥山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」(猿丸大夫)
2.「百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある むかしなりけり」(順徳院)

1.「奥山に 紅葉ふみわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき」
猿丸大夫とは偉い官位の雅号だったという説があります。ほかに情報がないので、短歌の説明に入りましょう。

奥山:山の奥の方
踏み分け:茂った植物のある場所を歩きながら足で分けて道をつけること 
現代語訳:山の奥の方へ、紅葉を踏み分けて入っていくと、鹿の声が聞こえた。秋は悲しいね!

筆者は、少ない言葉ではっきりとしたイメージを描き、鹿の声を響かせることで悲しさを伝えています。日本で季節、自然などはとても大切だとされています。枯れた落ち葉、独りぼっちの放浪者、一頭の鹿の鳴き声、すべてを合わせるとものすごく素敵なシーンが頭に浮かびます。悲しくもあり、美しくもあります。

2.「百敷や 古き軒端の しのぶにも なほあまりある むかしなりけり」
鎌倉幕府の勢力に押され、権力を失いつつあるなか、順徳院が20歳の頃に詠んだ歌です。

百敷:たくさんの意思を敷いたお城。
しのぶ草:古い家の軒先に生える草
偲ぶ:昔を懐かしむこと
なほあまりある:いくら偲んでも偲びつくせない
昔なりけり:昔でした

かつての力を持たなくなった天皇の悲しみを現わし、読む人にその感情を感じさせるのでしょう。最初の投稿で皆さんと歌の素晴らしさを共有したい書きましたが、ようやくそのチャンスに恵まれました。天皇ほどの偉い人が感情を胸に秘め、それを歌を通して表現するのはすごいことではありませんか。ちなみみに、この歌を読んで「偲ぶ」が気に入って頻繁に使いたくなるかもしれませんが、あまり知られていない言葉なので使うときはフリガナをつけて、意味もよく覚えておいてください。

1 件のコメント:


  1. 蘇誕さん、こんにちは!
    ちょうどクリスマスの頃、仕事場での日本人の同僚から贈り物のフルセットのカルタをもらいました。
    一昨年、名探偵コナンの劇場版映画「から紅の恋歌」の影響で、カルタに非常に興味を持ってきた。ただ,卒業の時期に結構忙しくて,やる時間がなかなかみつけられなかった。

    平成最後の年には、やっぱりカルタに挑戦したい(笑)
    まず,百人一首から勉強するねー
    蘇誕さんの宿題は毎週作文を書くこと。私の宿題は蘇誕さんが毎週ブロックに紹介する百人一首を勉強すること。

    それでは,蘇誕大先生様,今学期よろしくねー

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