2019年2月7日木曜日

ずっとクローゼット

バイク

今週は、「クローゼット」についてお話ししましょう。クローゼットというイメージはどのようにできたのでしょうか。LGBTQ+コミュニティにおいて、クローゼットの役割はなんでしょうか。この二つの質問に答えてみます。

クローゼットの比喩はあまり古くありません。George Chaunceyの研究によると「1960年代まで、ゲイの人々はクローゼットの比喩を使っていなかったようです。ゲイ活動の記録をはじめ、小説や日記、ゲイとレズビアンの手紙にもクローゼットの言葉はあまり使われていませんでした。」それでは、なぜ今よく使われるようになったのでしょうか。

クローゼットは自分だけ知っていて、人から隠されるところです 。部屋という意味もありますし、「skeleton in the closet」という表現もあります。そこでクローゼットは隠されたクイアアイデンティティに用いられたと解釈されます。しかし、クローゼットは、秘めたアイデンティティを意味するだけでなく、自分を守るためにも使われます。

LGBTQ+の人々は、クローゼットに隠れて生きていくことをよく知っています。日々表と裏の二重生活をし、カミングアウトしたら、家族や友達に嫌われるのではないかと悩みます。独立できる前に、最大の恐れは路頭に迷うことです。近年カナダで4万人もいる若いホームレスのうち、29.5%(約11800人)はLGBTQ+の人だそうです。暴行や殺害の危険に晒されています。カナダでは、LGBTQ+の人が暴行される事件は、2016年の176件から2017年には204件に増えています。アメリカでは、2016年にオーランドのゲイバーで同性愛嫌悪者による乱射事件がありました。49人が死亡、53人が負傷しました。ゲイバーはクイアな人にとって避難場所のようなものです。ゲイバーまで危なくなったら、どこに行けばよいのでしょうか。公園も安全じゃないです。日本では、公園での殺害事件がありました。「夢の島緑道公園」はゲイの人の出会いの場という側面があり、それでゲイが狙われました。ロシアでは、2018年からゲイやバイの男性は強制収容所に送られています。フィリピンでは、トランスジェンダーを打ち明けた女性が殺害されました。暴行や殺害以外にも、自殺をさせられるほどいじめられた事件もありました。

これらはLGBTQ+のひどい現実です。確かにLGBTQ+にも権利はありますが、法律で守られているのでしょうか。日本では、今もなおLGBTQ+への差別に対する具体的な法律が定められていません。ですから、クローゼットに隠れた生活が最も安全な選択になってしまいます。安全と言っても、Eve Kofosky Sedgwickが言ったように、「クローゼットはこの時代のクイアに対する弾圧の典型的な形です。」クローゼットはいいかもしれませんが、安全な偽の生活を続けるより、リスクが高くてもありのままの幸せを選びたいと思います。

2 件のコメント:

  1. バイクさん、性的少数者に興味深くて平等などに情熱を持っているみたいですね。

    自分の性的正体を隠さないといけないのがかなり残酷ですね。バイクさんのアイデンティティが知らないのですが、性的少数者に対する態度といえば、カナダはどうですか?同性愛者やトランス系から見ると住みやすくて自由な国だと思いますか?そして、日本はどうだか知っていますか?

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  2. クロゼットに残っているのか、それとも、ありのままの生き方をするのか、どっちもつらいの選択だと思います。バイクさんの紹介してくれたの事実はとても開眼するのことです。

    今週のブログのテーマはとても厳粛なものですが、話すべきだと思います。

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